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こんにちは、木村です。遂に1時間後、日本へ発ちます。そしてこれがスイスでのスカウト活動の最後の記事になります。彼らとの活動を振り返ると、本当に驚かされっぱなしでした。今彼らとの活動を振り返って思うこと、そういうことは記事の後半に書きます。
さて彼らは基本、夏に2週間規模のキャンプを行います。Sommer Lager、略してSoLaです。
今回はAppenzell Innerrhoden州のとある牧場の隅っこを貸し切ってキャンプです。どうやらキャンプ場を見つけるのが結構大変らしいですね。意外と場所が限られているとのこと。あんまりそういう風には思わないけどなぁ。
俺は現地に3日遅れで到着し、1泊2日しました。俺が到着した頃にはすでにキャンプサイトも大方完成し、いよいよ夏キャンプが始まったという雰囲気になってました。今回のキャンプのテーマは農家と魔女です。あんまり詳しい内容は覚えてませんが(長すぎるので)、色々あって農家の手伝いをしながらキャンプ場に居候させてもらう、的な感じです。
ということでLagerdruck(キャンプのスタンプ)もこんな感じに。上に魔女が飛んでますね。今回のデザインは俺好きですねこれ。それにしても書類が分厚いなぁ100ページ以上ふつーにあるぞ。。
さて、じゃあ早速キャンプサイトを見て回りましょうか。
写真じゃ分かりづらいかと思いますが結構な急勾配です、、俺だったらこんなところに設営はしたくない!というレベル。いやーでも景色は綺麗!このサイト的にはビミョーだけど、いい場所。
こちらは本部サイト。
2週間規模ともなるとさすがに備品の量が多いですねぇ。上の写真は備品の一部です。
こちらはリーダーの宿泊テント。
シャワーもあります。
こんな感じで使います。
こちらは集会用(?)テント。上にも登れます。
つづいて班サイトに向かいます!
こちらスカウトの宿泊サイト。
そこから少し離れて森に入っていくと、料理などをするための生活サイト(?)があります。
とまぁこんな感じです。
ざっとサイトを回ってみて気づいた点を2点。
1. 工作物 あるにはあるが 釘だらけ
字余りです。あまりにもロープ結びの箇所が少ないです。ほとんど釘で固定してます。文化の違いなんですかねぇ。確かに釘を使うからできることもあるわけですが、、
例えば)日本のスカウトはこんなものを作ります。(スイスの方向けに紹介)
2. ブラッヘン とても大事な 布である (雑)
写真をみて既にお気づきの方も多いかと思いますが、スイスのスカウトキャンプではBlachenという布を多用します。これを使えばいろんなものをつくれます。テントだってタープだってなんでもつくれちゃう。
さて、サイトの周遊完了。気づけば既に夕食の時間。夕食を終えるとナイトプロ(?)が始まります。
(?)にした理由は、ナイトのくせに全然明るいからです笑 21時過ぎないと日が暮れません。
だんだんと暗くなってまいりました。いよいよ本格的なナイトプロです。今夜は歌の日みたいでして、みんなで歌を歌いました。よーーーやく日本のキャンプファイヤーに持ち帰る歌を仕入れるチャンスが到来。ワクワク。写真はありません笑
さて、歌の後はお待ちかね、洗礼です。俺の洗礼です笑
洗礼とはどういうことだキリスト教に入信したのか、と思われるかもしれませんが、これはPfadidame(スカウトネーム)をもらうための洗礼です。彼らの活動の中でも唯一と言ってもよい儀式ですね。Pfadinameをもらうためにはまず自分の名前を捨て(名前を書いた紙を火に投げ入れ)、試練に合格しなければなりません。今回の俺のPfadinameは4文字ということで、1文字ずつ試練を受けました。スカウトの班4班すべてに1文字ずつ配分され、彼らの元で試験を受け、合格すればその1文字をもらえる感じです。パズルを解いたり、連想ゲームをしたり、スイスドイツ語の発音の難しい単語や早口言葉にチャレンジしたり、、一番興味深かったのはこれです。
普段彼らは活動のはじめとおわりに円陣組んで色々叫びます。今までは彼らが何を言ってるのかチンプンカンブンでしたが、今回ようやくその内容が判明しました。この紙に書いてあるのは標準ドイツ語でのエールですが、彼らは普段これを方言で叫んでおります。このチェックポイントでの試練はこのエールを日本語に訳して書くこと。任せとけ!!
早速すべてを訳すと一文字もらえます、と思いきや、なんとその一文字をモールス信号で伝えるから解読しろとのこと。
うげーーーーーwww モールス信号はできないいいww
ということでハンドブックを使いながら解読させてもらいました。笑
スイスのスカウトは普段からモールス信号を使っているので(集合の笛など)、ほぼみんなモールスできます。
さぁ、すべての文字が揃いました。俺のPfadinameは一体、、
写真の通り、Igel(いーげる)という名前をいただきました。ハリネズミという意味です笑 髪型がツンツンしてるというのが主な理由とのこと笑 他にも知的だとか色々理由はあるらしいですが、自分のPfadinameがIgelだとわかったときには思わず笑いました。
でもなんだかんだ結構気に入ったので今後積極的に使っていきます。
さて、洗礼の際にサイン入りネッカーという素敵な贈り物をいただいたのでお返しにこちらもネッカーを贈りました。字が汚いのは勘弁。
気に入ってもらえたようです。よかった。
ということであっという間にお別れの時間に。
みんな一年間ありがとう!
では最後になりますが、彼らと活動を経て今思うことを少しだけ綴ってみたいと思います。
この一年間、スイスを中心に様々な国のスカウト仲間にあったり、施設を訪れたり、一緒に活動したりしてきました。それらの経験を元にスイスと日本について考えてみると、どちらも極端であるといえます。スイスのスカウトはハッキリ言ってゆるすぎます。日本では考えられないほどゆるい。羨ましいと思うこともありましたが、一方それでいいのかな、なんて疑問に思うことも多々ありました。
一方、日本のスカウティングはやっぱり厳しすぎます。制服のルールしかり、普段の活動での上下関係しかり。別に厳しいことが負の要素だというつもりはありません。厳しいが故にその分教育効果などを期待できることも多いに考えられます。
この両極端な2つの国での活動を経て、私が痛切に感じたのはバランスの大切さです。楽しさばかりではタメにならない、しかし厳しすぎると楽しさが奪われる。バランスを保つのは非常に難しいですが、この2つのバランスがうまく取れてからこそ、真のスカウティングになるのではないでしょうか。
もう一点。おそらく私の留学のあまりにもスカウト要素が強いが故に「ボーイスカウトのために留学したの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。答えはYesでありNoです。これをドイツ語ではJaとNeinを組み合わせてJeinと言います。便利ですね。
事実、ボーイスカウトは目的の一つでした。元来私の留学はスイスの政治を理論面(大学にて)と実践面(ボーイスカウトにて)から学ぶというものでした。なぜボーイスカウトが政治の実践面に当てはまるかというと、我々の活動自体が非常に政治的であると考えられるからです。例えば、我々の組織形態が非常に政治的です。班があり班長がいて隊があって団があって地区があって県連盟があって..という様な形態はそのまま行政区分や地方分権の考え方に当てはめることができます。国があって都道府県があって市町村があって、という様な調子です。この構造的な共通性を原因とし、スカウト活動においては実社会にけるスイスの政治的な要素が反映されているだろうと考えたのです。これは留学先にバーゼルを選んだ理由の一つでもあります。バーゼルは3カ国の国境に位置しているため、外からの影響を非常に受けやすい。そこに他地域よりも強い外への感受性や受け入れの精神などがあると考えていたからです。
正直上述の理論は留学前はあくまで仮説でしかなくて、どこまでスカウト活動に政治的側面を見出せるか不安な部分がありました。が、いざ彼らとともに活動してみると、自分の仮説は決して間違っていなかったことがわかりました。スイスのスカウト活動が”ゆるい”理由のひとつは地方分権が非常に進んでいるからと考えられます。確かに中央政府(スイススカウト連盟)は存在していますが、大半の事は(進級システム、制服ルールなど)現場に委ねられています。だからこそボーイスカウト内でも地域差が生まれるのです。
まぁ長ったらしい話はここまでにしましょう。もともとこのブログはそういう話をするブログではありません。もし上述の話に興味がある方いらっしゃいましたらぜひ直接会って話し合いましょう。
いずれにしても私のこれからやらなければならないことは、こちらで学んだことを日本で最大限に活かすことです。もちろんスカウト活動のみならず、バーゼル大学で学んだこと、そして日々の生活で学んだことすべてを活かして先に進むことです。
それではまた日本でお会いしましょう。
木村直登 v/o Igel
弥栄